カントリーリスク2

昨日、ミャンマーが次の投資先として不向きではないかと言う話題を出した。
では他の国はどうなのだろう。まずは二つほど見てみよう。

よく話題に上がるのがベトナムとインドネシアだ。

ベトナムは仏教国でしかも日本と同じ大乗仏教系だ。国民は労働を嫌わず、手先が器用な人も多いように感じられる。人口も日本よりやや少ない程度で朝鮮半島全体よりは多い。

日本やロシアによって原発が作られ、高速鉄道計画もある。海に面して南北に長いので海運関係にも有利だ。

中国とは南沙諸島問題で日本の尖閣諸島問題と同じような悩みを抱えている。

そう言ってしまうとかなり良いイメージなのだが、悲しいかな政治体制は中国と同じ共産党の一党独裁体制だ。南沙諸島では喧嘩している一方、広東人たちが手広く商売をやっている。この季節などは広東省の業者が月餅の露店を大量に出してたりするぐらい中国との結び付きも強い。

実際、中国語話者も多いし、広東語だけではなく普通話が通じるところもある。少なくとも日本語よりは中国語の方が一般的だと感じる。

まぁ、実際にどの外国語がと言えば英語が一番多いようなイメージはあるが。

また、勤勉な国民性がクローズアップされる事もあるが、悲しいかな目先のお金が入手できるなら、多少のイカサマや泥棒は正義と言うのが途上国の常であることはベトナムも例外ではない。俺も中国人相手程度の警戒心しか持たずに買い物へ行って、少額ではあるが盗まれた経験もある。

市場での値段のごまかしもかなり酷いものがあるが、これは慣れればそれなりに面白い。(笑)

正直なところ、投資先としては業種や本体の企業体力によって判断は分かれるだろう。平均すれば現状も将来性も中国と同程度だと思う。


インドネシアについては俺自身がビジネスで行ったことがないので集めた情報だけでの判断になるが、あまり良いとは思えない。東南アジア最大の人口と言うのは市場としても魅力だが、一方で地球上で最大のイスラム国家だという難しさも持っている。

まぁ、多宗教のインドネシアだからイスラム教徒でなくても問題はないが、多神教を認めていない国家だからビジネスで根を下ろそうとする日本人には難しい場所である。

国民の五大義務の筆頭は「一神教を信仰すること」である。無宗教も多神教徒も認めてはもらえない。そう言う意味では日本人や中国人からみて付き合いの難しい国民だと言えよう。


実際のところ、海外で人間を雇用する時の難しさは教育の差に殆どの原因が求められる。日本人にとって「子供でも判る常識」が、他の国では「聞いた事もない特殊な要求」になるケースは決して珍しくない。

たとえば、管理職としての重要書類を作成中に、ちょっと判断に悩む部分があって考え込んでいたら、一番下っ端の部下がやってきてパソコン画面をのぞき込み「何か判らないんですか、教えてあげましょうか。」と言ったら、日本人上司はどう感じるだろうか。

上司の文書を覗き込む時点でかなり非常識だと感じるだろうが、その国では「積極的に困っている人の手伝いをしなさい」と言う教育が優先で「目上の人」と言う感覚を教えていなかったら、その下っ端の対応は極めて自然で良い子の対応なのだ。

中国での知人に農業関係の試験栽培をやっている会社の日本人がいる。現地で生産するための品種改良とかそんなモノだそうだ。彼が言うには「日本の小学校一年生がアサガオの種を植えるって言う教育、あれがこんなにも偉大な事だとは思わなかった。」そうだ。

中国人で農業経験のない人に「この種を植えるんだ」と言ったところ、「種を植える」と言う言葉の意味が理解できなかったらしい。日本人からしたら信じられない話だが。もし小学校でアサガオを育てる教育をしてなかったら、日本人だってそうなのかもしれない。


昨日のミャンマーのビルマ語の話題についてもそうだが、通訳に頼り過ぎると良い結果は生まれない。日本人でビルマ語の判る通訳は日本人の感覚を理解できてもそれを現地人の肌に合う言葉に訳せるかと言うとかなり疑問である。しかも日本人通訳は人件費も大変なことになる。

ミャンマー人で日本語のできる通訳を雇った場合、逐語的な翻訳が達者だったとしても、日本人の言葉の後ろにある常識と言う感覚が理解できず、結果として日本人が求める内容が伝わらないことが多い。そして、人件費の安いミャンマーであっても、日本語のできる通訳の給料は飛びぬけて高いのだ。

ビルマ語と言うマイナーな言語だからこうした問題は大きく拡大するが、とどのつまり外国人とのやり取りは、相手の言葉が何であっても言葉の後ろにある文化的教育的背景の差を理解していないと望んだ結果を得るには至らないと考えた方が良い。

そう考えた場合、外国で仕事をするという事は少なくとも班長クラス一人につき一人の通訳を専属させるぐらいの経費を掛けないと成り立たないと言っても過言ではないだろう。


基本は小学校レベルの基礎教育なのだ。しかし、それを徹底しようと思ったら自国に併合するしかなくなる。植民地化どころの騒ぎではない。植民地ではそうした教育などは行われないのが普通だからな。

そう言う意味から見て、日本人が日本人としてビジネスを行うのに最も間接経費がかからないのは日本国内であることは当然のことなのだ。もしどこかの外国で日本人と同じ教育を受け同じ常識を持ち、日本語を同じように操る国があったとすれば、そこでの人件費は日本と同じになり、日本へ製品を送る運賃分余計な経費がかかることになる。

我々が支払った税金は子供の教育にも回されている。海外へ進出することはその税金分を取り戻さず捨てるという意味も持っている。政治でもビジネスでも、拡大主義は結局自分の損になる事は多い。

言い換えれば尖閣諸島や竹島は死守しても、台湾や朝鮮半島を取りに行ってはいけないってことだな。






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カントリーリスク

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中国による反日暴動などで、企業が中国から別の国への移転を検討し始めていることが報道などでも話題に上っている。

今から4〜5年前だったか、中国での事業が軌道に乗ってきたころ、徐々に上がり始めた人件費の話題から、中国からの撤退について話し合ったことがある。

その時に多くの人が胡錦濤国家主席の任期が切れる2013年ごろを挙げていたのは、今になってみると驚きだ。

しかし、一方で中国からどこへシフトするべきかと言う話題になった際は意見が分かれた。


基本的には東南アジア、インド、東欧が候補に上げられたが、現在話題になっているミャンマーを挙げた人は一人もいなかった。

おそらく、当時すでに中国がかなりの勢いでミャンマーに進出して行っていたので、メリットがないと判断した人が多かったんだろう。

現在はアジア最後のフロンティアなどと言って、ミャンマーへの進出ブームを演出している節があるが、もし企業の皆さんが中国からミャンマーへの転出を考えておられるのなら、再考を促したい。

もちろん、中国からの転出は早めに行ったほうが良い。ウチの場合は比較的身軽なので2014年度第一四半期に撤収開始、第二四半期中に撤収完了ぐらいを大まかな目安と考えているが。


では、なぜミャンマーをお勧めしないのか、と言う話だ。

まず、ミャンマーで安価なのは人件費だけで、インフラが整っていないことに起因する設備投資費用は中国に比べてもはるかに高額になるであろうことが挙げられる。

さらに、自力でインフラを整えてもそれに関する維持管理も大変だし、政情不安定な国においては私企業が設置したインフラを国家権力によってお召し上げになることは決して珍しいことではない。ミャンマーは昨年複数政党による民主化を達成したという事になっているが、政権を担っている第一党は軍事政権からの後継政党であることは重要な要素だ。

また、ミャンマーにはすでに数万社の中国企業が進出している。日本の大企業がいくら力を持っていたとしても、一社は一社。中小企業などを誘惑して数増やしをしようとしているのかもしれないが、数万社と言う中国流数の暴力にはどうやってもかなわない。ましてや中国とミャンマーは国境を接している。

そして、これはどこの国にも当てはまることではあるが、言葉の問題がある。ミャンマーの主要言語はビルマ語だ。ビルマ語を話せる人、どの程度いるんだろうな。中国語なら俺でもカタコト程度は話せるが。w

そう言う観点から見ると、インドやフィリピンは英語話者が多いのでアドバンテージがあると言えるのかもしれない。しかし、その辺りの国も他のリスクは避けて通れないが、その話は次回に譲ろう。

そして、ミャンマーの不安要素は文化的背景にも及ぶ。

アウンサンスーチーさんの父君、ビルマ独立の父アウンサン将軍は、旧日本軍の援助を得てイギリスからの独立を勝ち取ったが、大東亜戦争で日本が負けそうになるとイギリス側に寝返り、せっかく建国したビルマ政府を日本に亡命させ、イギリスの支配下に戻してしまった人物である。

その後独立したものの、中国の影響で共産党を標榜する軍事政権が長らく政権の座にあり、いまだに国際社会に完全に受け入れられたとは言い難い状況だ。


そうしたメンタリティの部分での不安があるが、仏教国であるという宗教的安定感はある。日本人にしてみればイスラム教よりはなじみやすいかもしれない。しかしながら日本人の馴染んだ大乗仏教とはかなり趣が異なる上座部仏教であることから、ビジネスの上では必ずしも肯定的に働く要素とは言い切れない。


以上のようなことからミャンマーへの進出はよほど資本的背景のある大企業にしかできないと考える方が妥当だろう。

簡単に言えば投下資本の二倍を損しても屋台骨が揺らがない程度の資本力がないと怖い。

人件費こそかなり安いが、月給1万円の人を一人雇うのに毎月30万円の経費をかける値打ちがあるかどうかで判断されるのがよかろう。


個人的な意見としてはミャンマーに進出するのは中国系企業が撤退してからで十分だと思う。すでに中国には完全に先を越されているので、いまからミャンマーに出て行っても中国系企業を利するだけで日系企業にメリットはないと思う。


ではどこの国に進出/転出するのが良いのか。

結論から言うと日本である。都市部以外のどこかに回帰し、高齢者と若年層を正規雇用するのがおそらくもっとも安上がりだと思う。

例えば、定年退職後の人材を基本給25万円、一切の残業なしで雇用する。勤務できる健康状態が維持できなくなったら退職。交通費以外の手当は支給しない。

同時に学歴不問で25歳未満の人を基本給18万円で雇用する。こちらは時間外もインセンティブ的な手当てもアリだ。


今回は字数の関係でこれ以上の説明はしないが、じっくり考えてみれば、これが一番安上がりな事業形態だという事が判ると思う。カントリーリスクを考えずに外へ行った人たちにも、そろそろ日本と言う生産拠点/市場の魅力に気づいてほしいものだ。

草刈り場として日本が中国に侵食される前にな。






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