貴船神社 後編

さて、貴船神社の最終回だ。

今日紹介する奥宮は、もともとこの神社の本宮だった場所で、災害で社殿が傷んでしまったため、11世紀中ごろに現在地に本宮を遷されたそうだ。その後、奥宮として再興されたらしい。単なる遷座ではなくここに奥宮が残されたのは、ここに非常に重要なポイントが存在するからである。あとで述べよう。

画像は全部クリックで別窓拡大する。


参道にある鳥居と思い川に架かる橋。

思い川は、奥宮が本宮であった頃、参拝者たちが潔斎する御物忌川(おものいみがわ)だったのが、件の和泉式部伝説と重なって思い川になってしまったらしい。




貴船石の巨岩、つつみヶ岩

特に信仰対象と言うわけでもなく、そうした記録もないようだ。




参道




神門。目立った装飾もなく、本当に神域の区切りと言う厳粛さだけが感じられる。




境内に入ってすぐにある末社・日吉社。ご祭神は大物主命(おおものぬしのみこと)さまと大山咋命(おおやまくいのみこと)さま。




日吉社のすぐ後ろにある連理のご神木

下鴨神社末社相生社にも有名な連理の賢木があるが、この連理木は向かって左が杉、右が楓と言う珍しいものである。




境内風景。なにもなくすがすがしく広い。






拝殿前に控えている狛犬さん。なんとなくコミカルな風貌である。昭和50年ごろの奉納だった。




拝殿全景。




流造のご本殿。造替が行われて間もないので、透塀も賽銭箱も真新しい。

ご祭神は

闇龗神
くらおかみのかみ

さまである。ただ、現在では高龗神さまを主祭神とする旨の御由緒書がある。

ちょっと紐解いてみよう。神産みの段において迦具土神さまは父親である伊弉諾尊さまに切り殺されるわけだが、刀の柄から流れた血から産まれたのが闇龗神さまと闇罔象神(くらみつはのかみ)さまの二柱だとされている。

一方、
遺体からは八柱の神が産まれたとする書と、三柱の神が生まれたとする書があるのだ。こうした日本書紀中の齟齬は珍しいものではなく、いずれの書を採るかは読み手に任されているようなところもある。

で、三柱説を採る方の書によると、うち一柱が高龗神さまということになっているのだ。八柱の神様が生まれたとされている書には
高龗神さまの誕生にまつわる由緒はなく、流れで闇龗神さま=高龗神さまと言う同一視の傾向が見られるらしい。

また別の書によると、闇龗神さまは無限に深い谷底の川を、高龗神さまは無限に高い雨雲の世界を支配し、二柱を合わせて
水の循環を司る龍神さま=龗神(おかみのかみ)さまと総称される場合もある。

微妙にややこしいが、似たような事例は同じ水神・龍神様である罔象女神(みずはのめのかみ)さまと上で紹介した
闇罔象神さまの間にも存在するようだ。ただ、罔象女神さまは産まれ方に相違はあれど、闇罔象神さまとは別に産まれられたと言う伝承はある。




御本殿正面。最初にこの奥宮には重要なポイントがあると言った。実はこの奥宮御本殿には大きな秘密がある。真下に龍穴があるらしいのだ。

陰陽道で言う龍穴のように、地点を指すだけの言葉ではなく実際に穴があるそうで、江戸時代末期の修造の際に宮大工が誤ってノミを落としたところ、穴の奥底からとてつもない強風が吹き起こりノミを空中高く噴き上げたかと思うと、それまでの晴天が 一天俄かに掻き曇り 嵐となったそうだ。もちろん陰陽道で言う龍穴でもあるようだが。




末社・鈴市社

ご祭神は

姫蹈鞴五十鈴姫命
ひめたたらいすずひめのみこと


さまである。ピンと来た人は相当な日本神話マニアであろう。神武天皇の皇后さまである。




末社・吸葛社

ご祭神は

味鉏高彦根命
あじすきたかひこねのみこと


さまである。天照大神さまと並ぶ古い貴神さまで、鴨大御神(かものおおみかみ)さまと呼ばれることもあるそうだ。また傀儡子や遊女の民間信仰にある百太夫と同一視されることもあると言われている。




御船形石

玉依姫命さまの御料船である黄船がこの地に到られた際、人の目に触れることを忌み、小石で覆った物と伝えられている。ここから小石を頂いて航海に持ってゆくと安全を守ってくださるそうだ。




奥宮に咲いていた花。花弁が普通より細長いような気もするが、たぶん空木だろう。枝の中身が詰まってないから空木、俺のブログにぴったりだろ。orz

三回にわたって紹介してきた貴船神社のエントリはこれで終了だ。長いだけの駄文につきあってくれて感謝する。






にほんブログ村 地域生活(街) 関西ブログ 京都(市)情報へ   ←ブログランキング(常設)への応援よろしくお願いします。











            

貴船神社 中編

さて、昨日の続きだ。

画像はすべてクリックで別窓拡大する。


9世紀前半、大きな旱魃の際に朝廷より降雨を祈る勅願があった。その際にも黒馬が献じられたのだが、旱魃の際には黒馬を献じて降雨を、霖雨洪水の際には白馬または赤馬を献じ止雨を祈願するのが習わしであったようだ。

当初は生き馬を献じていたのだそうだが、これがのちに転じて馬の絵を描いた板に祈願を書く絵馬の起源になったということだ。




絵馬舎・龍船閣

この建物が敷地に接しているのは手前の辺だけで、後ろ側は崖に柱を立てて支持する高床式なのだ。ネーミングはその辺りからだろうと思う。




末社・祖霊社




比較的敷地の狭い本宮は以上。

登ってきたのと反対側へ出られる門がある。奥宮方面への出口だ。




途中で曲がっているようだが、登ってきた階段より明らかに短い。やはり山の中なんだなと感じたり。




階段を降り切って振り返ったところ。




先日の嵯峨野でも咲いているところを写したが、貴船でもシャガの最盛期だった。





幸せの小便たぬき(笑)。本宮から奥宮への道すがら発見。





本宮と奥宮の間に、中宮・結社がある。

え〜・・・くれぐれも「ちゅうぐう・けっしゃ」ではない。それじゃお后様と鷹の爪団になってしまう。w

これは「なかのみや(なかみや)・ゆいのやしろ」と読む。




結社へも登り階段。まぁ、さして高くはない。




階段を上りきったところにある正面鳥居。普通の明神式鳥居だが扁額はない。

ご祭神は

磐長姫命
いわながひめのみこと

さまである。大山祇神(おおやまつみのかみ)さまの娘神さまで、木花咲耶姫命(このはなさくやひめのみこと)さまの姉神さまである。

天孫降臨の際、瓊々杵尊(ににぎのみこと)さまのもとへ妹とともに嫁ぐが、美しい妹とは異なり醜かったため父のもとへ送り返されてしまう。

その際、瓊々杵尊さまに対して大山祇神さまは「永遠の命をさし上げるため贈った娘を返してしまったから、瓊々杵尊さまの子孫(=人間)は永遠に短命であろう。」と宣告されたそうだ。

また、日本書紀では身籠った妹神を呪ったことから人間は短命になったともされている。



しかし、この神社のご由緒によると、瓊々杵尊さまが木花咲耶姫さまだけを望まれたことから磐長姫命はそれを恥じて、「吾、ここに留まりて良縁を授けよう。」とこの地に御鎮座になったとされている。俺は日本書紀よりこっちの話の方が好きだな。見た目はアレだが心優しき永遠の命の守り神さまなのである。

俺が瓊々杵尊さまだったら、せっかくもらった二人の娘、絶対離さないと思うんだけどな。見た目のいい娘と気立てのいい娘、主として下半身で生きている俺にとってこんな美味しいシチュエーションはないじゃないか・・・しかも父親公認だぜ。w




ご社殿。銅板葺流造の御本殿と素屋根をかけた拝所。見た目非常に新しいが、最近造替されたところなのだ。

先の東日本大震災で、宮城県気仙沼市にあった龍神宮と言う神社も津波に流されてしまった。そこで、この結社の旧社殿を洗いにかけ、屋根を葺き替えて贈ったのだそうだ。

ただ、龍神宮は危険地域にあって再建が困難なことから少し離れた高台にある、迦具土神(かぐつちのかみ)さまを祀る穐葉神社(あきばじんじゃ)の境内に敷地を準備して本殿を設け、遷座されることになったとのこと。

貴船神社の主祭神、高龗神さまは迦具土神さまのご遺体から生まれられた神様なので、そうしたご縁もあるのだろうか。




結社社殿となりにある天乃磐船(あめのいわふね)

残念ながら古いものではなく、20年ほど前にこの山で掘り出された船の形をした自然石だ。おそらく輝緑凝灰岩だろう、貴船石と呼ばれて庭石などとして人気のあるもので、この岩も造園業の人が掘り出して奉納したとか。

最初の末社でも紹介した通り、この神社は船と縁がある。神社の計らいで奉納されたこの岩は磐長姫命さまの御料とされたそうだ。




これは恋多き女として名を馳せた平安中期の歌人、和泉式部の歌碑である。ここに読まれた歌は夫婦仲の悪化を嘆く歌だそうだ。

ものおもへば 沢のほたるも わが身より
 あくがれいずる 魂かとぞみる

うぅむ・・・不仲を嘆くと言うより恋歌に見えてしまうのは俺が和歌に暗い現代狸だからだろうか。^^;




さて、結社を出て奥宮に向かう途中、杉の大木が目に入る。樹齢1000年、しかも一つの根から二本の大木が伸びるご神木・相生の杉である。

樹齢1000年と一口に言うが、源氏物語の作者紫式部が上で紹介した碑の歌の詠み手である和泉式部を指して、「あの女、歌は天才だけどオトコにだらしないのよね〜。」と悪口を言っていたころに芽を出した樹だと思うと、樹の生命力に凄まじさすら覚えてしまう。




相生の杉の裏手にある末社・二ツ社

向かって左が少彦名命(すくなひこなのみこと)さまをお祀りする林田社
向かって右が大国主命(おおくにぬしのみこと)さまをお祀りする私市社(きさいちしゃ)である。

さて、今日はここまで、奥宮は明日に紹介しよう。






にほんブログ村 地域生活(街) 関西ブログ 京都(市)情報へ   ←ブログランキング(常設)への応援よろしくお願いします。












 

プロフィール


 管 
  

  
 
  スピンオフサイト: 

俺と糖尿病の15年戦争 
2015-09-29更新 



にほんブログ村最新記事

おすすめコンテンツ


カレンダー

S M T W T F S
      1
2345678
9101112131415
16171819202122
23242526272829
3031     
<< December 2018 >>

最近のコメント 10件


健康向上♪

 送料無料! 

iHerb なんと$40以上の購入で
・アメリカから送料無料!
・購入金額の5%off!!

↑終了日未定早い者勝ち!!↑

このバナーからの初回注文は
最大25%OFF!

表示中のエントリー

カテゴリー一覧

月別記事庫

記事情報

最後に更新した日:2018/12/16

サイト内検索

mobile

qrcode

powered

無料ブログ作成サービス JUGEM