食品偽装にならないニセモノ

 J-CASTニュースで、偽エクストラバージンの話題がアップされていた。オリーブオイルのエントリはカロリーを抑える必要性から最近ちょっとご無沙汰だったが、こういうニュースが流れたら一言言わずにいられないのがおれのチャームポイントだ。(笑)

J-CASTニュース(元の記事)
J-CASTニュース(ウェブ魚拓:元記事が消えていたらこっちで。)

で、何を言いたいのかと言うと、相変わらず日本のマスコミは事実の報道とセンセーショナリズムによるミスディレクションの玉石混淆っぷりが見事だなってことだ。

報道内容についてはリンクの記事を見てもらうとして、俺にも言わせろ的にエントリを作ってみたい。

まずは日本で売っているエクストラバージンに国際規格に合わないものが非常に多いというのは事実だ。俺自身以前から気になっていたが、スーパーで買い物する人の大半は中身なんか気にせずお値段で判断しているように見受けられる。

日本では食用グレードのオリーブオイルは食用オリーブ油1グレードなので、食用油の基準に合ってさえいればエクストラバージンという名称は商品名としての価値しかない。だから国際規格にあっていない「なんちゃってエクストラバージン」が跋扈しているのだ。

ただ、IOC(International Olympic Comittie ではなくInternational Oliveoil Council)の規定はほとんどが地中海とその近隣諸国でのものになるので、かつてアメリカでも同じような問題が発生した。現在でもアメリカのオリーブオイル規格はヨーロッパに比べるとアバウトなようではあるが。


で、IOC規格によるとオリーブオイルは全部で8グレードに分かれている。

物理的に搾油して一切の化学的処理を行っていないもの3グレード
1:エクストラバージン
2:バージン
3:ランパンテ(食用不可)

物理的に搾油した品質の悪いオイル(おもにランパンテ)に化学的処理を行って精製し、食用に適合させたもの。
4:精製オリーブオイル
5:精製オリーブオイルとバージンオリーブオイルのブレンドオイル

オイルを絞った後の果実に、化学処理を施して搾油した二番絞りのオイル。
6:ワックス分の残ったサンサ(ポマース)
7:精製サンサ(精製ポマース)
8:
精製サンサとバージンオリーブオイルのブレンドオイル(食用ポマース)

以上だ。日本で食用とされるものは1・5・8だが、味がしないだけで4と7も食品としての基準には達している。3と6は精製前の油で食用には不適だ。あと、2は食用可能かどうかは日本と国際規格との間に差があるのでケースバイケースってことだな。味は悪くないことが多い。

一方、二番絞りのサンサはIOC規格ではオリーブオイルと称してはならないことになっている。だからボトルに pomace (英語)
sansa (イタリア語など)の表記があったら化学搾油の二番絞りオイルだってことだと認識しておけばいい。でも、日本の食品衛生法上はオリオ・ノヴェッロ(いわゆるヌーヴォー、その年の新油)のエクストラバージンも、化学搾油の二番絞りにバージンオイルで風味づけした食用サンサも、同じ「食用オリーブ油」なので、ラベルにはそのように表記しなければならない。

スペイン産の食用サンサ(ポマース)の安いものなら5L入りで3,000円くらい、オリオ・ノヴェッロの高価なものなら500mlで1万円くらいする。まぁ、一般的なノヴェッロなら2,500円くらいでおいしいものがあるけどね。これだけの価格差があるんだから、当然中身はぜんぜん別物だと思うのが自然だし、「偽エクストラバージン」などと騒ぐこともないとは思う。


さて、次の問題はセンセーショナリズムだ。本物のエクストラバージン以外では健康効果がほとんどないと言った指摘があるが、これはちょっと大げさだろう。オリーブオイルの健康効果にはいくつかの要因がある。

1:ポリフェノールやビタミンEに起因する抗酸化作用
2:オレイン酸に起因する血中コレステロールの改善作用や便秘の改善作用
3:オレオカンタールの抗炎症作用に起因する心臓病の予防効果

1はエクストラバージンが有利なのは確かだ。しかし、2はベースオイルの脂肪酸組成に起因するものなのでぶっちゃけ食用に適さないくらい品質の悪いものであっても、基本的に差はない。そして3だがオレオカンタールはエクストラバージンに多く含まれるものの、刺激成分なので多すぎると辛くて食いにくいオイルになってしまう。また、健康に寄与するためには少量を長期間食べる必要があるので、醤油と同じくらいの頻度と期間使い続けないとイマイチ意味がないだろう。

ってことで、健康効果については横に置いといても問題ないと思う。やっぱり重要なのは旨いか不味いかってことに尽きるだろう。


エクストラバージンが活きるのは生で食べる時である。加熱するなら上の8分類で5番にあたる、日本で言うところのピュアオイルで十分だし、揚げ物に使うにはさらに下の品質の8番のポマスオイルが最適だ。

オリーブオイルから得られる脂肪酸以外のメリットはオイルではなくその不純物に多く含まれているが、一方で揚げ物に使うとその成分が焦げて悪い味を出してしまう。それを防ぐにはオイルの温度を低めに保つのが好ましいのだが、そうすると料理によっては不味い出来上がりになる。

その点土台が化学抽出のポマスオイルは旨味成分である不純物が少ないので焦げにくく、さらに発煙点も高いのでドカンと温度を上げた揚げ物が楽しめる。200度くらいなら全然へっちゃらだぜ。ただし生では食べない方が良い。おなかを壊すことはないがとっても不味い。w


さらに記事の中には明らかに問題のすり替えもある。低級の植物油に植物エキスで風味付けを行う手口が書いてあるが、例えばサンサオイルにバージンオイルを混合する場合は問題ないが、オリーブを原料としない油脂や植物エキスを使ったものに「食用オリーブ油」と表示することは「食用植物油脂品質表示基準」に反する違法行為だ。だからこれは食品偽装にあたる問題なのだ。

また、「
架空の生産者の名前やそれらしいブランド名をつけたりといった手口で販売」だが、輸入食料品については原産国と輸入販売者が明記されていれば外国語のラベルに意味はなく、責任は品質表示ラベルに記載された日本の業者にある。

こうした元来違法行為にあたるものまでもまとめて論じるのは、逆の意味で特定のオリーブオイルに何らかの箔付けを行うためのステルスマーケティングだと疑われても仕方のないところだ。

さらにおいしいけれど日持ちしないというのは事実だが、それも程度問題だ。フレッシュジュースと同様という表現はよく聞くが、じゃあオリーブオイルをコップに200ml注いで氷でも入れて一気飲みできるのかって話になる。がんばれば飲めなくもないだろうがたぶん二度とオリーブオイルなんて見たくなくなるだろうし、その日の摂取カロリーはそれで終わりになるぜ。約1,638kcalだ。

エクストラバージンの日持ちは、取れた果実をすぐに水洗いして破砕、遠心分離をかけて瓶詰したものだと、本当においしいのは日本に届いて3〜4か月ってところだろうか。だからたいていの場合6〜8か月の賞味期限を設定してある。

しかし、同じようにフィルタをかけてないオイルであっても種抜きをしてから破砕、金属板をゆっくり回転させながらペーストの中を通し、金属板にくっついた油分だけを取り出す自然滴下法の一種、シノレア・ラパッネリ法で作ったものだと一年近くは味が変わらない。

また、そうした方法に適さないオリーブの品種も少なくない。オリーブを絞ってから数か月ステンレスタンクの中で味を落ち着かせる作業が必要なものも少なくないのだ。そうしてしっかりフィルタリングされたエクストラバージンは変質しにくく18か月の賞味期限の間は問題なく食べられる。よくノンフィルタは高級品でフィルタードは安物のような宣伝文句を聞くがそんなことはない。それは単なる個性であってどっちがいいというレベルのものじゃないのだ。

ただ、産地で食べるのならそうなのだが、日本で食べるってことになると一か月以上の船旅をしてくるので、ノンフィルタのものにはちょっと厳しい面もある。基本、空調設備のないドライコンテナで運ばれてくるので変質してしまうリスクはノンフィルターの方が高くなる。もちろん高価なオリオ・ノヴェッロで、エアコンテナで運ばれてくる奴は別だぜ。



さて、ではニセモノのエクストラバージンを掴まされないようにするにはどうしたら良いか、いくつかのポイントをあげておこう。

1:ペットボトルはダメ、ガラス遮光瓶か缶入りのものを選ぶ。
これはIOC規格と言うよりイタリアの基準なのだがエクストラバージンの容器は100ml・250ml・500ml・750ml・1Lのガラス瓶か1L・3L・5Lの缶入りと定められている。したがってペットボトルや陶製のデザイン容器入りのものはエクストラバージンとは認められない。また、透明瓶は禁止されているわけではないが、かなりの高確率でオイルの劣化が見られる。ただし、スペイン産に良くみられる「透明瓶を紙箱に入れたもの」は問題ない。

2:最初のうちはイタリア産を買う。
これは品質管理の問題だ。スペインが世界最大のオリーブオイル生産国だが品質管理はあまりよくない。もちろんきちんと努力している農園もあるが、そのレベルのばらつきはまだまだだな。ギリシャやアメリカにもオリーブオイルの美味しいのはあるが、好みのものが見つかるまでテイスティングしてゆくってのはもはや道楽の世界だと思う。←お前が言うなと言う突込みは禁止。w

3:目安は500ml入りで1500円〜3000円。
もちろんおいしいオイルの中にはもっと安いのもあるしもっと高いのも腐るほどある。しかし、コスパ的に見てはずれが少ないのはこの価格帯だ。

4:日本の製油メーカーのものは避ける。
日本の製油メーカーから出ているオリーブオイルは・・・衛生的な品質管理は問題ないと思うが、ぶっちゃけ不味い。製油メーカーが買い付けてきたものも同様だ。ある程度オリーブオイルに慣れてきたらトルコやチュニジア、パレスチナ産のオイルにチャレンジするようなつもりで自分の好みのものを探してみるのは悪くないと思う。ギャンブルを楽しめるぜ。

ま、この辺を押さえておけば7割ぐらいの確率でまともなものを手にできると思う。



そうそう、余談だがオリーブオイルソムリエと言う民間資格は日本オリーブオイルソムリエ協会の登録商標だったんだな。俺はAISO-Japan(イタリアオリーブオイルソムリエ協会日本支部)で勉強したので、オリーブオイルソムリエと言う商標登録された資格じゃなく Sommelier dell'Olio ってことになるみたいだ。

なお、イタリアオリーブオイルソムリエ協会では炒め物でも天ぷらでもエクストラバージンを推奨しており、上で述べたピュアオイルやポマスオイルの利用は俺個人の意見なのでここで断っておこう。

ディプロマはクリックで別窓拡大する。



ま、そんなものはどうでもいいわけで、旨いオイルを見つけて人に伝えられればそれで十分だと思う。いまじゃ仕事で使う機会もなくなったしねぇ・・・orz







にほんブログ村 地域生活(街) 関西ブログ 京都(市)情報へ   ←ブログランキング(常設)への応援よろしくお願いします。








今日の二十四節季 10月23日 霜降 (そうこう)
「つゆが陰気に結ばれて、霜となりて降るゆへ也」


今日の七十二候 10月23日 霜始降
(そうしこう / しもふりはじめる)




コメント
コメントする








   
この記事のトラックバックURL
トラックバック

 

アクセス数

7月のアクセス数: 72,798 
6月のアクセス数: 70,447 
累計アクセス数:3,028,703 
2013年4月1日〜2018年7月31日 


プロフィール


 管 
  

  
 
  スピンオフサイト: 

俺と糖尿病の15年戦争 
2015-09-29更新 



にほんブログ村最新記事

おすすめコンテンツ


カレンダー

S M T W T F S
 123456
78910111213
14151617181920
21222324252627
28293031   
<< October 2018 >>

最近のコメント 10件


健康向上♪

 送料無料! 

iHerb なんと$40以上の購入で
・アメリカから送料無料!
・購入金額の5%off!!

↑終了日未定早い者勝ち!!↑

このバナーからの初回注文は
最大25%OFF!

表示中のエントリー

カテゴリー一覧

月別記事庫

記事情報

最後に更新した日:2018/10/18

サイト内検索

mobile

qrcode

powered

無料ブログ作成サービス JUGEM